店舗では災害が発生した際にスタッフだけでなく、来店しているお客様の安全確保や帰宅支援をする必要があります。店舗には多数の商品があるため、散乱したもので怪我をする可能性もあります。
平常時から被害を抑えるための事前対策を行うことが、被害を少なくするために大切です。さらに災害発生時には、安全な場所に誘導するだけでなく、帰宅困難者に必要な備蓄品を提供することも求められるでしょう。店舗に求められる役割を考えた上で、防災対策をすることが大切です。
店舗の周辺の状況を把握しておくことは、事前にしておきたい対策です。各市町村では災害時の避難所が設定されています。最寄りの避難所を確かめておき、災害別で避難できる施設を確認しておきましょう。
地震が発生すると土砂崩れや津波のリスクが高くなり、台風などでは水害が予想されます。地域の災害発生時の被害を予想できる「ハザードマップ」が用意されているので水害や津波などの災害に合わせて避難先を検討しておきます。
避難経路を確認しておくことも大切です。大きな商業施設に入っている店舗の場合には、施設内の避難ルートも確認しておく必要があるでしょう。非常口から地上への避難ルートや避難可能な場所を把握しておきます。
また、避難経路に荷物を置かないようにしておき、他の店舗の荷物も放置されていないか確認しておきます。平常時には問題ないとしても、地震が発生すると倒れる可能性がある什器が経路にあるなら、地震対策しておきましょう。
店舗内の設備の地震対策を徹底しましょう。倒れる危険性がある什器は、壁などに固定するようにしておきます。また、高いところにある荷物が落下しないように固定します。
停電時にすぐに避難ルートを見分けられるようにライトをすぐに取り出せる位置に設置したり、消火器の位置をあらかじめ把握しておくことも有効です。
店舗は不特定多数の人が出入りする施設なので、消火器や警報設備、さらに避難設備の設置が法律で義務付けられています。年2回の点検も義務付けられているため、定期的な点検も防災対策といえるでしょう。
災害が発生すると、どのように対応するのか指示を出す人がいなければ混乱に陥ります。防災の担当者を決めておき、責任者の指示の元で行動するようにします。
防災の担当者が休みだった場合の、代理担当者も決めておきましょう。また災害発生時に初期消火や誘導など、何を行うのかの係も決めておき防災訓練しておくなら、よりスムーズに災害対応できます。
災害発生時に営業をどうするのか判断する責任者も決めておきます。被害状況によって時間短縮で営業するのか、それとも閉店するのかの判断です。
複数のエリアで展開している店舗であれば、地震などの被害状況が異なるでしょう。店長が判断するのか、それともマネージャーが判断するのかマニュアル化しておくことがおすすめです。
店舗に来店している利用客だけでなく従業員が自宅に帰れないこともあるでしょう。交通機関がストップしてしまうと、帰宅困難者が店舗に残る可能性もあります。
防災の責任者を中心として帰宅困難者の人数をいち早く把握できるようにしておきましょう。
店舗に防災グッズを備蓄しておくことも大切です。緊急セットはもちろんのこと帰宅困難者用の食料や水、防寒具や簡易トイレなどの滞在セットも用意しておくとよいでしょう。
商業施設に入っている店舗の場合には、避難してくる人数が多くなる可能性もあります。想定される人数よりも少し多めに防災グッズを備えておくとよいでしょう。
災害時に電気やガス、さらに水道が復旧するまでの期間が予想できないこと、また生活物資の支援が届くまでが3日かかるといわれています。防災グッズは3日分を目安としておくのをおすすめします。
災害発生時にどのように行動するのかマニュアルを作成しておきます。マニュアルが作成できたなら、店舗にいるスタッフに共有をしておき、落ち着いて行動できるように備えておきましょう。防災訓練を行う際には、マニュアルを活用します。
災害発生時には、安全確保ができるまで店舗に滞在する可能性もあります。目安となる3日分の備品を備えておくと安心できるでしょう。
店舗から避難するための懐中電灯や軍手、さらに情報収集するためのラジオやトランシーバーなどを準備します。滞在している従業員や利用客のために水や食料も用意しておきます。
安全が確保されてから帰宅困難者が帰宅するために、帰宅支援マップを用意しておくのは大切です。帰宅支援マップとは、一時待機の支援施設だけでなく、安全に徒歩帰宅するためのルートが記載されている地図です。
また、情報収集するためのラジオや夜の道を歩くための懐中電灯、さらに、エネルギーを補給するための食料や飲料水を準備しておきます。
災害の被害を受けてから営業再開のために必要な備品も用意しておきます。例えば、復旧作業のためにヘルメットや軍手が必要となりますし、停電が起きた時のための非常用電源や補修作業を行うための工具が必要でしょう。
店内に散乱した荷物を整理して、壊れた場所を補修できるように備品を備えておきます。
自治体が提供しているハザードマップには、地域別の災害リスクがわかりやすく記載されています。最寄りの避難場所や道順を確認できるので事前にチェックしておきましょう。
高所にある小物は、落下すると怪我の原因となる可能性があります。それで高いところに物を置かないようにしたり、家具に落下対策を施したりしましょう。突っ張り棒や扉にチェーンを設置するのはおすすめです。
停電時に明かりがなければ安全に避難するのは難しくなります。それで充分な数の懐中電灯を用意しておきましょう。各席に懐中電灯があるなら飛散してしまったガラスで怪我をするリスクを減らせます。
地震の大きさによっては店内が散乱したり壊れてしまったりして、避難するのが難しくなることもあるでしょう。万が一の事態に備えてノコギリやパールなどを用意しておくと、緊急脱出できる可能性を高くできます。また作業したときに怪我をする可能性もあるので、救急箱を用意するのも忘れないようにしましょう。
ガスの元栓を閉めて火災が発生しないようにしましょう。
頭を保護しながら落下物がないエリアへお客様を誘導します。机の下に入れるなら、頭を保護できるように下に潜るように勧告します。
慌てて外に飛び出すと落下物による怪我の危険性があります。揺れが収まるため屋内に留まるようにしましょう。
大きな地震が発生した場合、その場に居合わせたお客さんにはすぐ避難してもらいましょう。揺れが収まっていたとしても、いつ余震が来るかわかりません。
どうしても支払おうとするお客さんがいたら、後日来店したときの支払いでかまわないと伝え、安全確保を最優先にしてもらいましょう。
大きな地震では電気の復旧の際に火災が発生するリスクもあります。そのため、ブレーカーを落としておきましょう。
屋外に出た際に余震によって落下物が発生する可能性もあります。建物から離れるようにしましょう。
強風で固定されていないゴミ箱が飛ばされるかもしれないため、しっかりと固定しておきましょう。複数あるならまとめてロープなどで縛っておきます。
看板も風の影響を受けるため事前に固定されているか、確認しておきます。置き看板は屋内に収納しておき、風で飛ばされて怪我をしないように注意します。
台風による大雨で雨漏りする可能性もあるでしょう。コーキングなどは経年劣化するので、ヒビが入っていることも考えられます。台風の予報が分かったなら、事前にコーキングに割れがないかチェックしておきましょう。
台風によって来店が難しくなると予約したお客様はキャンセルする可能性もあるでしょう。台風が直撃する時間帯を確認しておき、前もって電話で確認しておくのがおすすめです。キャンセルが発生しなければ食材を無駄にすることもありませんし、営業の中止も検討しやすくなります。
大雨や洪水、さらに強風の影響があるなら、営業時間を調整しましょう。帰宅するのが難しくなる可能性もあるため、早めに決断して告知するようにします。
消したと思ったタバコの吸殻などが原因となる火災もあります。ガスコンロなどから離れる場合に火を消しているか確認しておきましょう。
消火器があってもどこにあるのか把握していなければ初期消火できません。すぐに取り出して使えるように設置場所を確認しておきましょう。
火災発生時に素早く避難できるように、避難経路を確認しておきます。階段を使った経路も確認して、実際に利用しておくとスムーズに避難できます。
自然が原因ではなく人為的な要因によって起こる火災もあります。コンセント周りの配線を確認しておき、無理なタコ足配線になっていないか、またホコリの有無もチェックしておきましょう。
タバコの吸殻を燃えるゴミと一緒にしておくと発火する可能性があります。完全に消火するまで、ほかのゴミと一緒にしないようにします。
ガス設備が老朽化していると、ガス漏れが発生して火災につながることもあります。ガス管や設備を定期的に点検しましょう。
火事が発生したなら、すぐに危険を知らせることが被害を抑えるポイントです。「火事だ!」と大きな声で叫んで危険を知らせましょう。
速やかに消防署へ通報します。落ち着いて住所や火元を伝えておきましょう。
近くにある消火器を使って初期消火を実施します。天井に届かないほどの火の手であれば、消火器を使えます。十分に火元から距離を取って放射しましょう。
煙は吸いすぎると一酸化炭素中毒になる危険性があります。対策としてゴミ袋に空気を入れて、袋を抑えて呼吸します。大きな袋でなくても避難するための十分な呼吸を確保できるため、他のお客様の分も配布しましょう。
初期消化できなかった場合や火元が天井まで達している場合には、速やかに避難しましょう。部屋のドアや窓を閉めて空気を遮断しておくのも火の拡大を抑えられる方法です。不用意に開口部を開けてしまうと、急激に空気が流入して爆発的に燃える「バックドラフト」が発生します。避難したなら、再度建物の部屋や窓を開けないようにしましょう。
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