アウトドアのお供として、非常時の備えとして、幅広い用途で重宝するポータブル電源ですが、ポータブル電源を原因とする事故も報告されています。
実際に起きた事故を例にとると、2021年1月、横浜第2合同庁舎2階で事務所の一角が焼けた事例では、ポータブル電源を充電中だったとのこと。同じ年の5月、横浜市で2階建て住宅が全焼した火災では、ポータブル電源を充電中だったという調査結果があります。また、2021年4月、駐車場に停めていた乗用車から出火したケースでは、車内にポータブル電源が置かれていました。
これらの火災を調査した結果、いずれのケースでもポータブル電源が異常発熱した跡が見られ、ポータブル電源が火災原因になったのではないかと推測されています。消費者庁が集めた事例の中には、誤った使い方で発火したと考えられるケースもあるようです。
実際に電気が流れている状態の充電中はもちろん、保管場所や、保管方法にも気を配らなければ、ポータブル電源が火災の原因になる可能性はゼロではないことがわかります。
どんな状況下においても安全性は重要なポイントですが、個人宅に比べ、会社・施設などで業務用ポータブル電源を導入する際はより安全性を重視する必要があります。その理由の一つが「営業損失の拡大」です。
火災が発生した場合、火災調査をするよう消防法で定められており、立ち入り捜査や関係者への質問などが行われます。事故による直接的な損害以外に、その後の火災原因調査活動によって営業活動が制約されることで、更なる営業損失が生じるのです。火災調査には、2つの種類があります。
出火原因や火災が拡大した原因、さらに設置されている消防設備などを調査します。これらの要素を調査することで、火災予防に役立てられるデータを得られるからです。原因を特定することは、民事上、刑事上の責任の所在を明らかにするという目的もあります。
死傷者や罹災世帯の人的被害、物的損害の大きさ、さらに損害額を評価する調査です。
2つの調査は「火災原因調査員」が行います。調査している間は事業活動が制約されますが、その期間は1年程度になることもあります。調査期間中、営業活動や設備の使用に制限がかかる場合もあるほか、火災事故にかんする報告書を公表するなど、企業の負担は少なくありません。
ポータブル電源にかかわる出火・事故のリスクを抑えるために、考えられるポイントを紹介しています。これから購入する人、既に持っている人も参考にしてください。
ポータブル電源を選ぶ際は、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。ホームページなどで、安全性確保のためにどういった設計・工夫がされているか、そもそも安全性を重視している会社なのかも調べられます。また、アフターサポートの充実度合も、安全性の指標になるでしょう。
ポータブル電源の正しい使い方は、説明書をよく読んで把握しましょう。ポータブル電源は簡潔に言えば持ち運びのできる蓄電池。乱暴に扱って内部で損傷してしまうと、時間が経ってから発火するといった可能性もあります。
また保管する際は直射日光を避ける/極端に低温になる場所を避けるように注意しましょう。気温変化の激しい車内などは、保管に適しません。
ポータブル電源の中には防水性能を備えている製品もあります。すべての製品に共通する仕様ではないため、ポータブル電源を、屋外や雨の中で使う場合は防水レベルを確認しましょう。防水性能にも段階がありますので、それを越える環境下では使用しないでください。
ポータブル電源の出力端子は、住宅のコンセントと同様の注意が必要です。濡れた手で操作して感電しないように、また子どもが針金などの金属を挿し込んでショートしないように、気を配りましょう。
BCP・非常用の【安定稼働】な
業務用ポータブル電源
IPS-3000A
(株式会社アイ・ディー・エクス)
長時間使用する方用の【大容量】な
業務用ポータブル電源
EPU-8125
(株式会社エジソンパワー)
日常的に使用する方用の【超軽量】
な業務用ポータブル電源
BN-RB10-C
(株式会社JVCケンウッド)
※2021年6月25日時点、公式HPに活用事例が掲載されている企業の中から、それぞれ以下の基準で選定しました。
・BCP対策や非常用にオススメの電源:バッテリー内の保護回路の種類が一番多かったもの
・イベントなど長時間の使用にオススメの電源:バッテリー容量が一番大きかったもの
・日常的な用途にオススメの電源:重量が一番軽かったもの