業務用蓄電池とはオフィスや商業施設などで使用される蓄電池のことです。停電時のバックアップ用電源として店舗や施設に設置されています。平常時から電力をコントロールして、使用量を管理できるものも用意されています。
小さな店舗では小型の蓄電池でも非常時の電源を補えますが、大型の施設や工場などでは10kWh以上の大容量の蓄電池が必要になります。据え置きあるいは持ち運びといった手軽なものではなく、設置工事が必要であったり、排熱のために別の設備が必要になったりする大規模なものです。このページでは「産業用蓄電池」とも呼ばれる10kWh規模の蓄電池や蓄電池システムを紹介しています。
また本サイトでは、小規模の施設や企業向けの小型で持ち運びしやすい業務用ポータブル電源を紹介していますので、参考にしてください。
産業用蓄電池は家庭用蓄電池と比較すると、3つの点で異なっています。
家庭用に比べて蓄電容量が大きくなっているのが産業用蓄電池です。店舗用の小型のものでも10kWh以上の容量があり、工場などでは500kWh以上の蓄電池を設置している場合もあります。また、複数の蓄電池を組み合わせて容量を調整する場合もあります。
家庭用の蓄電池はリチウムイオン電池を使用している物が多いですが、産業用はNAS電池が用いられます。大容量の蓄電池に適したタイプで、耐久性も期待できます。規模が大きな施設用の蓄電池は、メンテナンスが必要でも長く使えるNAS電池が採用されていることが多くあります。
持ち運びが便利な小型のポータブル電源と異なり、産業用蓄電池は設置スペースや必要な設備があります。大容量の産業用蓄電池は熱を持つことがあり、排熱のための通気経路や設備が必要だからです。
大型の蓄電池の場合には建屋を建てる必要もあるかもしれません。場合によっては建築確認が必要など、家庭用の蓄電池とは設置の難易度が異なります。
業務用蓄電池は停電時のバックアップとして設置されるケースが多くあります。自然災害が発生すると広範囲にわたって停電が起こる可能性がありますが、そのようなときでも大切なデータを守る必要があるでしょう。
業務用蓄電池があるなら停電時でも、直ちに給電してくれるタイプも選択でき、業務に必要なデータや設備を守れます。
また非常時以外でも平常時の電気使用をコントロールしたり、太陽光発電と組み合わせて省エネ効果を期待したりできます。災害用として設置されることが多い業務用蓄電池ですが、環境のために活用することもできるのです。
業務用蓄電池のシステムがどのような仕組みになっているかご紹介しましょう。業務用蓄電池はバッテリーだけで構成されることもありますが、太陽光ソーラーパネルと組み合わせて、太陽光発電のシステムも併用して電力を効率的に使用します。
平常時は太陽光発電で発電を行っていますが、使用量が発電量を上回るので蓄電池と太陽光発電の両方から給電しています。しかしピークカットを行い電気使用量が多い時間帯の電力を削減し、電気料金を抑えます。
使用量が発電量を下回っている場合には、余剰分の電力で蓄電池を充電。満充電になると充電を抑制してバッテリーを保護します。太陽光発電システムと併用されていない場合でも、充電した電力を使ってピークタイムの電気使用量を抑えることも可能です。料金が抑えられる夜間の電力を使い、全体の電気料金を抑えるのです。
パナソニック ホールディングス株式会社は、オフィスや店舗、さらには公共施設などの小規模施設に適した蓄電システムを展開しています。省スペース設計になっているので、設置場所に合わせやすいことや太陽光発電システムに追加設置できるという特徴があります。
株式会社日立産機システムが展開している産業用蓄電システムは、停電時の電力供給や太陽光発電と連携したものです。エネルギーの有効活用やBCP対策にふさわしいシステムが用意されています。電池の種類を選択したり、電池接続数を調整したりできます。
ニチコン株式会社の公共・産業用蓄電システムは、太陽光発電と連動して電力ピークシフトで節電したり、非常用電源としてバックアップしたりするのに適しています。セパレート構造で分割納入しやすい、急速充電器との連携ができるなど、使い方が広がります。
大容量でもコンパクトで、非常用だけでなく日常でも使える産業用蓄電システムを販売しています。停電時に大穴エアコンや業務用冷蔵庫などの三相電気機器を動かせる産業用蓄電池です。大型の蓄電システムで大規模な商業施設などにも対応しています。
ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社の産業用リチウムイオン蓄電システムは、安全性を重視したリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しており、熱安定性が高いものです。また長期システム保証があるので長く安心して使えるでしょう。
株式会社ディーグラットが販売している業務用蓄電池は、コンテナに入っている100kWhの大容量タイプから無人施設に適した1.48kWhのコンパクトなものまで、幅広いラインアップがあります。施設や用途に合わせて選択しやすい商品展開です。
EMCcore株式会社が展開している業務用蓄電池は、複数のサイズのコンテナ型の大容量タイプが用意されており、大型の施設にも対応できます。既に設置している太陽光発電と組み合わせても有効活用できるでしょう。
株式会社エネマンが展開している業務用蓄電池はエネマンシステムに内蔵された通信端末で、クラウド上でデータを確認できます。管理サイトから電力の使用状況や、ソーラー発電の状況を管理したり、レポートを出力したりできます。
東芝インフラシステムズ株式会社が提供しているリチウムイオン蓄電池システムは蓄電池容量もニーズに合わせて選択でき、変換効率が高いリチウムイオン蓄電池を採用しています。ピークシフト、ピークカット、さらには太陽光発電設備の変動抑制などの機能も活用できる蓄電池システムです。
エリーパワー株式会社が展開している産業用蓄電システムは無遮断UPS搭載タイプもあり、停電時も安心できるバックアップシステムを構築できます。容量も複数タイプから選択できるため施設や用途によって調整しながら導入しやすいシステムを販売しています。
業務用蓄電池は、政府目標の「ZEB」で導入を推奨されているものですが、どのようなもので何が推奨されているのか紹介します。
ZEBとは、政府が2030年までに新築建築物の年間の一次エネルギー収支がネットでゼロになる政策目標を掲げているものです。
Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略語となっており、省エネによってエネルギーを減らすこと、さらに創エネでエネルギーをつくることで、エネルギー消費量の正味ゼロを目指します。
一般住宅向けはZEHの認定が進められており、いずれも再生可能エネルギー設備の導入が必要です。
建物の消費エネルギーを減らすために、省エネ技術が開発されていますが、さらに必要となるのは創エネ技術です。建物を運用する段階で、どのように創エネできるかを考えておくことが、ZEBを実現するために大切です。
一般的に業務用蓄電池は、ポータブル電源よりも大容量のバッテリーを搭載しており、10時間程度バックアップ電源として活用できます。業務用蓄電池にはソーラーパネルと併用できるタイプも販売されており、省エネ効果と創エネの両方が期待できます。
産業用蓄電池や再生エネルギー設備に関しては、「BEMS(ベムス)」と「FEMS(フェムス)」という言葉が利用されます。ビルや工場でのエネルギー管理システムのことです。
さらに詳しくご紹介します。
BEMSとは、Building and Energy Management Systemの略で、日本語では「ベムス」と読まれます。室内環境とエネルギー性能を最適化したビル管理システムのことを意味しており、ビルの照明や空調などを制御します。
業務用ビルからも二酸化炭素が排出されており、今後も増加が見込まれることから、温暖化への対策としてBEMSの導入が進められています。
BEMSは建物内のエネルギー使用状況や設備機器の運転状況を把握して、需要予測して運転制御を自動的に行います。これにより、省エネルギーな運転を行えるのです。
複数の建物を持っている企業であれば、エネルギー管理を一括して行うシステムを導入することで、消費エネルギーのコントロールがしやすくなります。
BEMSで各種のセンサーや制御システムにより各部屋の温度や人の有無などを測定して、制御装置から空調や照明の運転を制御します。機器運転の改善点を見つけ出し、省エネルギーな運転が可能となりました。
それだけでなく、運転状況を測定できるため機器の劣化状況を把握したり、使用状況を「見える化」したりできます。
FEMSとは、「Factory Energy Management System」の略で、工場エネルギー管理システムと呼ばれるものです。日本語では、「フェムス」と呼ばれています。
工場のエネルギー消費量を削減するために、設備のエネルギー使用・稼働状況をコントロールして、各種機器を制御するシステムです。
FEMSを導入すると、工場全体のエネルギー使用状況が把握しやすくなるため、具体的な改善案が見つけやすくなります。状況を把握していないと、稼働していない機器があったり、エネルギー使用量が大きくなりがちな機器があったりします。しかし全体をデータ化して制御するFEMSによって、エネルギーのコントロールが可能となるのです。
工場全体のエネルギーをセンサーによってデータ化するため、安定していながらもエネルギーコストを削減したり、生産計画の制度が向上したりします。各部署で省エネ活動をしていたとしても、FEMSを導入によって「見える化」するため、効率的に省エネ活動を行えます。
BCP・非常用の【安定稼働】な
業務用ポータブル電源
IPS-3000A
(株式会社アイ・ディー・エクス)
長時間使用する方用の【大容量】な
業務用ポータブル電源
EPU-8125
(株式会社エジソンパワー)
日常的に使用する方用の【超軽量】
な業務用ポータブル電源
BN-RB10-C
(株式会社JVCケンウッド)
※2021年6月25日時点、公式HPに活用事例が掲載されている企業の中から、それぞれ以下の基準で選定しました。
・BCP対策や非常用にオススメの電源:バッテリー内の保護回路の種類が一番多かったもの
・イベントなど長時間の使用にオススメの電源:バッテリー容量が一番大きかったもの
・日常的な用途にオススメの電源:重量が一番軽かったもの